【 国際結婚の手続き 】を開始する時に、知っておきたい3つのこと
更新日時:2020年6月21日
行政書士 佐久間毅
東京の国際結婚手続きの専門家、アルファサポート行政書士事務所がわかりやすくお伝えします!
各国別の結婚手続きも記事のなかほどでご案内しています。ご活用ください。
Ⅰ 国際結婚の手続きって大変ですか?
外国人の方との遠距離恋愛を乗り越えてようやくお相手がプロポーズをしてくれた(プロポーズを受けてくれた)ものの、さて法律上はどうやって結婚するのか?、結婚手続きはどのように進めるのか?という問題にぶつかった方も多くいらっしゃることと思います。
外国人とご結婚される、つまり国際結婚の場合には日本人同士の結婚と異なって手続きそのものが面倒であるだけでなく、原則としてお互いの国で結婚手続きをしなければならないので日本人同士ならば1回で済むことを2回も!そして2か国の違うやり方でやらなければならないのですから大変です。
国によっては外国人と自国民とが結婚をすることを厳しく制限している国もあれば、結婚自体が許可制の国もあります。また結婚式を必ずしなければならない国もありますし、その結婚式の日取りはお寺のお坊さんが有無を言わさず決めてしまう!という国も。
でもご安心ください。アルファサポート行政書士事務所のお客様のほとんどが、私どものほんの少しのサポートだけで、あるいは全くサポートがなくても、日本とお相手の国の双方での法律上の結婚は自力で行うことができていますので、あなたも無事に外国人のお相手と結婚することができるでしょう。
そのために、この記事を是非参考にしてみてください。
国際結婚の場合にやっかいなのは、晴れてお二人の母国において法律上のご結婚が成立したとしても、その先にもう一つ別のハードルが待ち受けているということです。
ご夫婦が今後どちらの国を拠点に結婚生活を送るのかという選択を迫られ、これがビザの問題に直結します。日本で結婚生活を送られるのであれば外国人であるお相手が日本のビザを取得しなければなりませんし、お相手の国で結婚生活を送られるのであればあなたがお相手の国のビザを取得しなければなりません。
そしてこのビザの取得は、不許可になってしまうとお相手が日本で暮らしたり、あなたがお相手の国で暮らしたりすることができなくなってしまうので、とても慎重に対処しなければなりません。
Ⅱ お相手の国籍によって難度が異なる国際結婚手続き
まずはじめに、日本の結婚手続きは世界的にみてもとても簡単な手続きになっています。
日本人同士の結婚の場合、結婚届を記入して提出しそれが市区町村役場に受理されればそれで結婚が成立します。通常はお二人そろって婚姻届を提出しに役所まで出向くことが多いですが、妻か夫のどちらか一人が出向いて提出しても良いですし、夫婦は役所に出向かず代理人が提出しても良いとされています。
日本人同士が結婚される場合に、やり方が分からなかったとか、婚姻届が受理されなかったなどの話はほとんど聞いたことがないはずで、それは日本の結婚手続きがとても簡単なことを意味しています。
ところが、外国には結婚手続きがとても複雑な国があります。例えば中国では、結婚をするためには結婚当事者が二人そろって結婚登記所という役所に出向かなければ結婚をすることができませんし、フィリピンやアメリカでは結婚式を牧師さんなどの面前で執り行わなければ結婚できません。なかには自国民同士の結婚でさえ宗教が異なるととても面倒で、わざわざ他国へ出向いて結婚されるような国もあります。
ここで皆さんは、必ず相手の国でも結婚を“成立”させなければならないの?と疑問に思われるのではないでしょうか。
この答えはYESです。どちらかの国で結婚が法的に成立していない状況のことを法律上は跛行婚(はこうこん:limping marriage)と呼んでいます。
跛行とは日常用語としては耳慣れない言葉ですが、医療の現場でも使われており、片足に何らかの障害があり正常な歩行ができないことや、つり合いがとれていないことを言います。
日本のみで結婚を成立させてお相手の母国で結婚を成立させていない場合、お相手は母国ではまだ法律上独身であることになります。これはマズイですよね?
例えば日本の配偶者ビザの申請をするときにも原則として両国で結婚手続きが完了したことを両国の結婚証明書などの提出で証明することとなっていますから実際にも対応を余儀なくされます。
一方で、必ず相手の国でも結婚“手続き”をしなければならないの?という皆さんの疑問に対する回答は国によってYESであったりNOであったりします。
例えば、日本での結婚手続きを先に行った場合、中国、アメリカ、ロシアなどの国では改めて結婚手続きを行う必要がありません。
なぜなら、これらの国では外国で成立した自国民と外国人との結婚は、自動的に自国内でも有効な結婚と認めるとしているからです。つまり中国、アメリカ、ロシアなどの国では、日本で有効に結婚が成立すればそれらの国で改めて結婚手続きをしなくても結婚が(自動的に)成立するため跛行婚にはなりません。
一方で、韓国、台湾、ベトナム、ドイツ、スペイン、フィリピンなどの国では、日本で先に結婚をしても自国の政府に後からきちんと結婚を届け出なければなりません。
従って、国際結婚をする際には、お相手の国の結婚制度がどのようなものなのかきちんと調べる必要があります。
お相手の国籍ごとの結婚手続き
ベトナム人と日本人とのご結婚手続きはこちら>>>「ベトナム 結婚手続き」
韓国人と日本人とのご結婚手続きはこちら>>>「韓国 結婚手続き」
タイ人と日本人とのご結婚手続きはこちら>>>「タイ 結婚手続き」
Ⅲ 日本で先行して結婚手続きをする場合
Ⅲ-1 どこで結婚すればいいの?
日本で日本人と外国人が結婚をする国際結婚も、日本人同士の結婚と同じく市区町村役場に結婚届という書類を提出して行います。
そしてこれまた日本人同士の結婚と同じく、提出した結婚届が受理されればその時点で外国人と日本人との国際結婚も成立します。
受理された時点で「婚姻届受理証明書」の発行を受けられます。そしてその受理からおよそ1週間程度で日本人の「戸籍謄本」にお相手が配偶者として記載されることとなります。
Ⅲ-2 市区町村役場には2人で出向く必要はあるの?
日本人同士の結婚と同じで、日本人と外国人が2人そろって婚姻届を提出しに役所へ出向く必要はありません。日本人だけが婚姻届を提出しに出向いても良いのです。従って、お相手の外国人は海外にいたまま、日本人だけで日本側の結婚手続きを完了させることができます。
Ⅲ-2-1 お相手の外国人が海外にいる場合
上述のように日本人だけで結婚手続きを行うことができます。しかしながら、お相手の外国人が日本にいて一緒に役所に出向く場合よりも少し書類の準備が大変になります。
お相手側が用意しなければならない結婚書類である「婚姻要件具備証明書」に相当する書面を海外では入手できないことが多く、その代替書面としての「独身証明書」を提出せざるを得ないことが多いからです。
「婚姻要件具備証明書」というのは、お相手がお相手の国の法律で結婚できる状況にあることを証明する書面で、この書面によってお相手の国の結婚の要件をすべて満たしていることが証明されていなければなりません。日本で日本人と外国人が結婚をする際には、外国人がこの婚姻要件具備証明書を提出しなければならないのですが、ほとんどの国ではこのような書類の発行は
しておらず、「独身証明書」しか入手できないことが多いのです。
ではこの独身証明書ではなぜダメなのかというと、独身証明書では独身であることしか証明しておらず、他の条件を満たしているのかいないのかまったくわからないからです。
このような独身証明書を提出されても日本の市区町村役場の担当者は、外国人のお相手がその国の法律上結婚できる状態にあるのか分からない(独身であることしか分からない)ので、婚姻届をその場で受理することができないという取扱いになることが多くあります。
この場合は、市区町村役場の担当者が国の機関である法務局にこの結婚届を受理しても良いですか?というお伺いをかけることとなり時間がかかります。これを受理照会といいます。
Ⅲ-2-2 お相手が日本にいて、日本の中長期ビザをもっている場合
お相手の外国人が日本にいらっしゃる場合、圧倒的多数の方はお二人そろって市区町村役場に行かれます。これは日本人同士のご結婚でも同じですね。
法律上はその必要がなくても、挙式をしなくても結婚が成立する日本では、結婚届の提出という行為が“結婚の儀式そのもの“であるからでしょう。
実際、お二人で市区町村役場に出向けば、お相手の外国人の国籍を証明するためにパスポートの原本を提示すれば済みますので、書類の準備も簡単になります。
また海外在住の外国人が入手困難な婚姻要件具備証明書も、お相手が日本の中長期ビザをもっていて在留カードの交付を受けている場合には、日本にある大使館で婚姻要件具備証明書を発行してくれる国が多くあります。
婚姻要件具備証明書があれば、お相手の外国人がその国の法律で要求されている結婚の条件をすべて満たしていることが明らかになりますので、市区町村役場で婚姻届がスムースに受理され3-2-1でご紹介した「受理照会」になる可能性が小さくなります。
Ⅲ-2-3 お相手が日本にいるが、短期ビザで日本に滞在している場合
ご結婚相手の外国人が日本にいるが短期ビザでの滞在であるため在留カードをもっていない場合も、少々手続きが面倒になる可能性があります。
なぜなら、日本にある大使館では、短期ビザで滞在中の自国民に対しては婚姻要件具備証明書を発行しない国が多いからです。
この場合には、自国から持参した独身証明書などを提出することになるでしょうが、3-2-1で述べた理由により、受理照会となる可能性が高くなります。
Ⅲ-4 日本で先に結婚をする場合の必要書類は何ですか?
結論から申し上げますと、市区町村役場によってかなり要求する書類に差がありますので、事前に必ず婚姻届を提出する予定の市区町村役場で確認しましょう。
一例として、ある市区町村役場のホームページには必要書類として次の記述があります。
・婚姻届書(成人の証人2人の署名、押印があるもの。未成年の方は父母の
同意が必要)
・婚姻要件具備証明書および日本語訳文
・出生証明書および日本語訳文
・国籍証明書および日本語訳文
・届出人の印鑑(朱肉を使用するもの)
・届出人の本人確認ができるもの(在留カード、運転免許証、パスポート)
・戸籍謄本(届出地に本籍のない方のみ)
もう一つの例として川崎市は、婚姻要件具備証明書の記載で国籍、氏名、生年月日等が確認できない場合にのみ(国籍証明書として)パスポート原本を要求しています。
Ⅲ-5 お相手の国の機関(在日大使館領事部又は領事館)に結婚を報告
アメリカ、中国、ロシアなど他国で先に結婚が成立した場合に自国へ報告する必要がないとの制度をとっている国を除いて、日本での結婚の成立をお相手の国に知らせる必要があります。
多くの場合、日本で結婚が成立したことを証明する文書である戸籍謄本とその翻訳を要求されることが多いでしょう。
ベトナムなどの国は日本語の戸籍謄本だけを提出すればよくその国の言葉に翻訳することが不要な国もあります。
お相手の国の機関に結婚を届け出たことを証明する文書は、日本の配偶者ビザの申請の際に必要なので必ず受け取りましょう。
Ⅳ 日本の配偶者ビザはどうやって取得するの?
日本の配偶者ビザは正確には在留資格「日本人の配偶者等」と言います。
これを取得できないとお相手の外国人はたとえ結婚が成立しても日本で暮らすことができませんので、シャレになりません。
配偶者ビザは必ず取得しなければならないのに、申請しても不許可になる場合が多くあるのでやっかいです。
配偶者ビザが不許可になる典型例として以下のものがあります。該当している項目があれば慎重に申請をする必要がありますので、後から慌てることのないように、リンク先の記事でしっかりと対策を確認しておきましょう。
不許可類型【1】 対面での交際歴が短い >>先に読む
不許可類型【2】 写真などの証拠が少ない >>先に読む
不許可類型【3】 年齢差が大きい >>先に読む
不許可類型【4】 言語に習熟していない >>先に読む
不許可類型【5】 収入が少ない >>先に読む
不許可類型【6】 雇用形態が不安定(派遣社員、契約社員、自営業) >>先に読む
不許可類型【7】 就職したばかりである >>先に読む
不許可類型【8】 短期ビザからの変更を希望 >>先に読む
不許可類型【9】 過去の在留状況が悪い
不許可類型【10】 離婚歴がある
不許可類型【11】 交際が前婚に重なっている >>先に読む
不許可類型【12】 お相手の家族にインターネット上でしか会ったことがない・紹介されていない >>先に読む
不許可類型【13】 納税していない >>先に読む
不許可類型【14】 今のビザが切れる直前に結婚した >>先に読む
不許可類型【15】 難民申請中である >>先に読む
■この記事を書いた人
行政書士 佐久間毅(さくま・たけし)
東京都出身。慶應義塾志木高等学校、慶應義塾大学法学部卒。高校在学中に米国コロラド州のイートンでホームステイ。大学在学中は、他大学である上智大学の国際法の権威、故・山本草二教授の授業に通い詰める。大学卒業後は民間の金融機関で8年間を過ごし、現在は東京・六本木でビザ専門のアルファサポート・行政書士事務所を開業。専門は入管法、国籍法。