難民ビザから結婚ビザに変更するまでの注意点
更新日時:2020年6月21日
行政書士 佐久間毅
難民申請中の外国人と日本人とが職場やSNSなどで出会い、めでたく結婚のゴールにたどり着かれるケースが最近とても増えてきています。
東京のアルファサポート行政書士事務所には、「難民申請中なのですが結婚ビザが欲しいです・・・」というご依頼・ご相談が絶えません。
難民ビザから配偶者ビザを取得されたお客様
難民ビザから配偶者ビザへの変更許可事例【1】
こちらは2019年に、難民ビザから配偶者ビザへの変更が許可された今年第1号のお客様です。
難民ビザ(下)をお持ちの状況でアルファサポート行政書士事務所にご依頼になり、弊社のノウハウを駆使して無事、配偶者ビザ(上)が許可されたお客様の案件です。
難民ビザは多くの方が不正な申請をされており、そこからの配偶者ビザ取得は大変難しいですが、是非諦めずに弊事務所へご相談ください。
【お客様の声】
メールの対応の速さ、的確な指示があり、安心して一任できました。一から十まで親切に対応して頂き感謝しております。
難民ビザから配偶者ビザへの変更許可事例【2】
こちらは、難民ビザ(下)をお持ちの状況でアルファサポート行政書士事務所にご依頼になり、弊社のノウハウを駆使して無事、配偶者ビザ(上)が許可された案件です。
その後の更新も許可され、一歩一歩、永住権に近づいていらっしゃいます。
難民ビザは多くの方が不正な申請をされており、そこからの配偶者ビザ取得は大変難しいですが、是非諦めずに弊事務所へご相談ください。
ご自身で結婚ビザの申請をして不許可になってからご相談に見える方もありますが、そのような状況でいらっしゃっても手遅れのことが多く、大半のケースでは、本国に帰国を余儀なくされます。
ご相談にいらっしゃる外国人の方の国籍は、ベトナム、フィリピン、ネパール、インドネシア、トルコ、ミャンマー、スリランカなどあまり偏りはなく様々です。
先日は、難民申請中のベトナム人のお客様の配偶者ビザが無事に許可されました。
ただし難民ビザから結婚ビザへの変更は、とても難度が高いので慎重に慎重を重ねて準備し申請をする必要があります。
ひとくちに難民ビザといっても、難民として「すでに認められた人」と「難民申請中の人」とでは、結婚ビザの難易度に天と地ほどの差があります。
結婚相手の外国人の方は、「自分は難民だ」とか、「難民ビザを持っている」、などと日本人に説明をされることが多いですが、難民として正式に認められたわけではなくて、難民申請中でいらっしゃることがほとんどです。
実は「難民ビザ」という名称のビザは存在しないのですが、入管職員も外国人と英語で話すときには「refugee visa」という表現を使っていますので、外国人の方は正確な表現ではないものの特に意識せず「難民ビザ」という単語を使用されていることが多いです。
ご結婚されるお相手が難民申請のフローのどの時点にいらっしゃるのか良く分からなければ、彼 / 彼女の在留カードを確認してみましょう。
在留カードに在留資格「定住者」と書かれていれば、すでに難民と認められた人です。
いっぽう、在留カードに在留資格「特定活動」と書かれていれば、難民申請中で結果待ちの状況(あるいは難民でないとの結論がいったん出たものの、審査請求という不服申し立てをしている状況)にあることを意味します。在留資格が「特定活動」の場合はまだ難民であるかどうかの結論は出ていません。
在留カードに在留資格「定住者」と書かれていた人は、難民として来日したことについて、あれこれ思い悩む必要はまったくありません。
あなたのフィアンセ(配偶者)はもうすでに、日本が国家として正式に難民と認めた人なのですから、堂々と次のステップにお進みください。
在留カードに在留資格「特定活動」と書かれていた人は、結婚ビザの申請に「気をつけなければならない人」と、「気を付けなくても良い人」に分かれます。
気をつけなければならないのは、「本当は難民ではない」のに、日本に滞在したいとか、日本で就労したいがために、難民申請をしてしまった人です。
あえてストレートに表現させていただくと、この状態は「偽装難民」と呼ばれていて、「偽装結婚」や「偽装就労」と同レベルの犯罪です。
数年前には社会問題化したことをご記憶の方も多くいらっしゃるでしょう。ご存じない方はグーグルで「偽装難民」と検索すると、当時の状況を知ることができます。
本当は難民ではないのに難民ですという虚偽の申請をして在留資格「特定活動」を手に入れることは犯罪ですので、ビザ変更の際に必要となる「素行の善良性」の要件を満たせなくなります。
明らかに難民ではないのに難民申請をしている場合、「ビザ目的で虚偽の申請をしている」という現在進行形の実績がありますので、入管の審査官から「難民申請がもうすぐ不認定になりそうなので、さらに日本に滞在するためこんどは協力者を得てビザ目的の結婚をしたのではないか?」という疑いをもたれることになります。
実際に彼 / 彼女をよく知っているあなたやご友人からすれば何の疑いもない「真実の結婚」であるとしても、入管の審査官からみれば「怪しい人」なので、このケースの場合は自力で申請をされても配偶者ビザが不許可になる可能性が極めて高く、許可される可能性はほとんどありません。
難民申請中であっても、本当に宗教的又は政治的な迫害を受けて本国から逃れてきた方は、心配をされる必要はまったくありません。
ハードルは高いですが本当に難民なのですから、堂々と次のステップに進みましょう。
アルファサポートのお客様をみていると、難民申請中の方は「結婚の真実性」の立証の点でも、他のお客様よりも不利な状況にあります。
傾向として、①交際期間が短い、②本国のご両親に対面で挨拶をしていない、等のマイナスのご事情を抱えたケースが多いです。
他の就労ビザや留学ビザで滞在中の外国人と出会う場合、少なくとも1年の在留期間をもらっていますから、結婚までに時間的な余裕のあるケースが多いです。
しかしながら難民申請中の方の場合、在留期間が「6か月」であることが多いため、「次の更新は認められないかもしれないから早く結婚しなくちゃ!」ということで、他のお客様よりも圧倒的に短い交際期間でトントン拍子に結婚を決断されることが多いです。
ビザの期限が迫った状態で結婚することは「駆け込み婚」呼ばれており、入管の審査官に「帰国を免れるために結婚するのでは?」という疑念をもたれやすくなります。
また難民申請中は一度出国すると日本に再入国することはできませんから、お相手のご両親への結婚の報告は、電話やスカイプなどで簡単に済ますことが多く、両家のご両親の顔合わせや食事会などは望むべくもありません。
留学ビザや就労ビザで滞在する外国人と出会った場合は、ふたりでお相手の母国へ出向いて、ご両親にきちんと結婚の挨拶をされるケースが大半です。
日本人同士の結婚であっても、相手のご両親に対面で挨拶することなく電話で済ませることなど通常はないはずですが、途上国であればあるほど結婚は人生における一大イベントなので、結婚式に入れ替わり立ち代わり数百人がお祝いにやってくるなどというのは珍しくもありません。
難民申請中の場合は、お相手のご両親が結婚相手である貴方を確かめることもできないうちに結婚をするわけなので、婚姻の真実性の立証のハードルが高くなるのです。
上記のように、難民ビザから結婚ビザへの変更は、他の申請者よりも圧倒的に不利な状況を抱えており、ゼロからの積み上げではなくマイナスからの出発となりますので、申請にはアルファサポート行政書士事務所のような経験の多い行政書士事務所に依頼されるようにしてください。
■この記事を書いた人
行政書士 佐久間毅(さくま・たけし)
東京都出身。慶應義塾志木高等学校、慶應義塾大学法学部卒。高校在学中に米国コロラド州のイートンでホームステイ。大学在学中は、他大学である上智大学の国際法の権威、故・山本草二教授の授業に通い詰める。大学卒業後は民間の金融機関で8年間を過ごし、現在は東京・六本木でビザ専門のアルファサポート・行政書士事務所を開業。専門は入管法、国籍法。